国際精神分析学会(IPA)認定精神分析家・精神科医の精神分析と心理療法のオフィス

宮田善文の精神分析オフィス
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精神分析とは

 精神分析は心の苦しい在り方を本質のところから変化させる治療法です。精神分析という言葉に馴染みのない方は、国際的に歴史のある本格的な心理療法とお考えください。精神分析が役立つ状態の重要な目印は、過去の人生を通じてできあがってきた、そして自分自身もそれを作るのに関わってきた、「どこか苦しい生き方」、「不自由な制限された生き方」、「何かが欠けた空虚な生き方」などが自分の中にあるという感覚です。「自分自身もそれを作るのに関わってきた」と感じているところが大切です。自分でも作ってきた心の生き方のパターンなので、専門家の援助の元に自分で変化させていく道が開かれているのです。

 精神分析では、独特の設定の中で、分析家という他者に援助されながら、自分自身で無意識を含めた心の世界を探求していきます。そのことは、自分というものを深いところで経験しなおし、発見しなおす作業になるのと同時に、他者や外側の世界というものを深いところで経験しなおし、発見しなおす作業になります。そうした心の作業を長い時間をかけてじっくりと行っていくことで、精神分析を受ける人は、自分自身や他者、世界との、より生き生きした関係を持てるようになり、より自分らしい生き方、より自分の本来もっている力が発揮される生き方ができるようになるのです。

 精神分析は単純に癒されたり、誰か他の人に代わりに何かをしてもらったりするタイプの治療法ではありません。コーチに何かのやり方を教えてもらったり、知識をもらったり、或いは、精神科医に薬をもらったり、といった治療とも全く違ったものです。人の心に本質的な変化が起こるためには、多い頻度で、様々な気持ちになりながら自分自身と向き合い、長い期間をかけてじっくり治療に取り組んでいく必要があるというのが精神分析が長い歴史の中で見つけてきた結論です。つまり、精神分析は決して、簡単手軽に要領よくスピーディーに終わらせることを目指したり、謳ったりする治療法ではありません。ゆっくりと、本物の変化をめざす治療法です。​

ジークムント・フロイト

 精神分析は100年以上前にオーストリアのウィーンの神経科の医師ジークムント・フロイト(写真右)によって創りだされた本格的な心の治療法です。しかし、分析家になるための訓練が大変なことや、国内での訓練体制の整備に相当の年数がかかったことなどのために、日本では精神分析の本格的な導入が遅れ、治療法としてのその本当の姿はまだ十分に認知されていません。フロイトが精神分析という方法を見つけ出し、確立していった歴史は複雑ですが、最終的にフロイトがたどり着いた、人間の心の苦しみの重要な本質についての見方は私なりに要約すると以下のようになります。

人は他者との関係で生じる苦や不快を回避するという切実な動機のもと、気づかないうちに自分らしさの数々を心の生活の中心から切り離したまま生きてきている。

そうしたことの核心の部分は子供時代に起こり、それは無意識の中で大人になっても影響を持ち続ける。そして心の成長もある部分ではとまったままになってしまう。

自分らしさやそれがもつ創造性や活力から切り離されままでいる状態、心の全体としての自然な成長が滞っている状態は、有限の生を生きる人間において、様々な程度で苦しみの起源となっている。

 フロイトはこうした観点をもちつつ、人間の心の治療法であり理解の方法として精神分析を創り出しました。フロイトの死後も、多くの有能な分析家たちが生涯をかけて精神分析をより有効なものにすることに取り組み、長い年月をかけて精神分析を発展させてきました。つまり、精神分析は人の心の本質に届く、歴史のある、強力な心の治療法です。さらには、歴史的に、精神分析は精神医学と心理学に根本的な影響を与えてきており、今ある心理療法のほとんどは精神分析からの流れを何らかの形でくんでいます。

精神分析の治療者

 精神分析の治療者は精神分析家(または省略して分析家)といいます。精神分析家は被分析者(精神分析をうける人。患者。)の無意識という、人が心の中で切り離してきている部分、アクセスできない部分という極度にデリケートなものを扱い、自分の心も差し出しながら、被分析者との深い交流を通じて、困難な治療に患者と共同で臨んでいくことになります。そのため分析家は長年の相当な訓練によってその力を身につけていく必要があります。訓練機関は国際的に多数ありますが、フロイトが創設した国際精神分析学会(IPA)が最も伝統があり、厳格な訓練体系をもっています。

 なお、精神分析的な方法でより少ない頻度で行う心理療法を精神分析的心理療法といい、日本では他国と違い、これまではこちらが主流でした。そして、訓練機関の体系立った訓練を受ける形ではなく、一般的な心理療法の知識と経験を土台にしつつ、上級者から精神分析的治療の教えを受けるといった個人的な訓練をもとに日本では長い間、精神分析的心理療法が主に行われてきました。そうした状況が日本への精神分析の本格的な導入が大幅に遅れた背景としてあったと思われます。

集中的かつじっくり行う療法

 私のオフィスでは精神分析(週4,5回で行う治療)と精神分析的心理療法(精神分析の方法を使って週1~3回の頻度で行う治療)を提供しています。精神分析や精神分析的心理療法では週の決まった曜日、時間に少なくない頻度で長年会っていくことで他の治療法には無い深い成果を上げる治療法です。そうしたやり方で培われた長年の知恵や方法が精神分析の100年を超える歴史に存在しています。長い歴史を経た精神分析という治療法がもつ果実の恩恵を受けるには、どうしてもこうした長く、深く、じっくりやっていくことが不可欠になります。そして精神分析は、首尾良くやりぬくことができれば、その長年の取り組みに十分見合うだけの心の変化や創造性、生き生きした力の実感をその人の人生の中にもたらしてくれるのです。